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† 040:指輪 (2/5)

「それは災難だったな」

 王者の心に近付く為の洞窟探検が如何に厳しく、そしてその結果がどんなに間の抜けたものだったかを延々と語った後に返された短い相槌に、机に座っていたリヤナは勢いよく立ち上がった。

「それが、危険を掻い潜ってきた乙女に言う言葉ですの?もっと、言うべきことがあるでしょう」
「ないな」

 即座に返された冷めた否定に、明らかに機嫌を損ねた表情で本の散らかった薄暗い部屋を横断し、椅子に腰掛ける彼の背後へと回った。その首にしなやかな腕を絡ませ、広い背中に寄りかかった。
 土埃を払い落とした金髪が流れ、シャンプーの香りが眼鏡を掛けた青年の鼻腔をくすぐる。

「即答しなくてもよろしいでしょう?少しくらい、考えたらどうですの?」

 拗ねた口調のリヤナの咎めに、青年は無表情を崩さずに一応考える素振りを見せる。

「・・・・・・・ないな」

 が、やはり導き出される答えは同じだったようで、体を起こしたリヤナの問答無用の一発が銀髪の後頭部に打ち込まれた。

「…痛い」
「叩いたのですから当然ですわ。まったく…貴方という人は、本当に失礼」

 読んでいた本から目を離すこともなく、小さく呟く青年にウェーブの掛かった金髪を払いのけたリヤナは、不機嫌はそのままで鼻を鳴らした。

「己の鬱憤の吐き場所として他者を理由もなく叩くのは失礼に値しないのか」
「貴方に対して遠慮する価値がありまして?」

 取り付く島もないリヤナの反応に、やはり青年は一度として組んだ膝の上の本からその銀青色の瞳を上げることはなかった。軽く肩を竦めることで不毛な言い争いに終止符を打ち、寡黙な性格を反映する沈黙を守る。

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